友達に結界師がいた頃の話

小学生の頃流行ったものといえば、1番はポケモン(ダイヤモンドパール)かもしれない。みんなやってたもん。小学生のポケモンあるあるといえば、旅の途中で仲間にしたポケモンで殿堂入りする人がほとんどいないことだと思う。だいたい3個目のバッチをゲットしたところで100レベの伝説ポケモンを大量に持っている奴が現れて、周りの友達に配布しまくる。それで殿堂入り後の集合写真が、自分、レックウザパルキアディアルガ、ルギア、デオキシスアルセウスみたいな感じになる。いや、威圧感すごすぎるだろ。ゲーム画面ではクールに気取ってる相手も実際には「( ;´Д`)」みたいな顔になってるでしょ。あの頃の僕らは100レベルで色違いで伝説のポケモンだったらなんでもよかった。

 

ポケモンブームも落ち着いてきた頃、結界師という漫画の影響で、それの真似をする遊びが友達間(男子)で流行った。知らない人のために軽く結界師について説明すると、先祖代々結界師の家庭に生まれた幼馴染の男女が、夜中の学校に現れる妖怪を退治する漫画。これだけ聞くと、よくありそうな設定だなと思うかもしれない。ただ、結界師が妖怪を退治する方法が格好よくて、それが当時の小学生を虜にした。これまた簡単に説明すると、チョキの人差し指と中指を閉じた状態で妖怪に向けて「結」と叫ぶことによってその妖怪を直方体の結界の中に閉じ込める。「滅」と叫んで文字通り妖怪を滅する。イメージが湧かない人はようつべで動画を見てきてほしい。これが男子の間で流行りに流行った。すれ違うと、挨拶代わりに「結!」「滅!」と叫び合った。一応言っておくと、この時点で、結界師をちゃんと漫画で読んでいたのは半分にも満たないと思う。ブームとはこういうものなのかも知れない。

 

男子だから流行りがやってくるわけではない。当時の女子にも男子の結界師ばりの大ブームが来ていた。それが心霊ブームだった。休み時間や昼休みにみんなで集まって各々知っている怖い話や、テレビで見た心霊映像について喋っていた。女子特有の「キャー!」という叫び声が一定の間隔で聞こえてきてうるさいので、それに対して我ら結界師のうちのやんちゃな奴が切れたりしていたが、よく考えたらお互い様だなと思った。

 

モンスターハンターというゲームに通常のモンスターとは色や強さが違う亜種モンスターが出てくる。言い方を変えれば突然変異種。動物でいうアルビノみたいなものだと思う。結界師や心霊といったブームが広がっていく中で、それはブームであり流行りに過ぎないのに、亜種が生まれた。生まれてしまった?

 

クラスの女子に霊が見える人が続出し出したのである。今考えてみれば嘘なのはバレバレだが、当時小学生だった僕はそれを全て信じてしまい、恐怖だった。 「図書館の前に赤い服を着た女の子が立っている」「トイレから声がする」「○○くんの椅子の上に血だらけの生首が落ちている」など、毎日のように幽霊が出没した(らしい)。気が弱くて泣いてしまう人も何人かいた。

 

霊が見える女子と対をなすように、霊を倒すことができる男子が現れた。彼らは見えない剣で霊を斬り殺したり、魔法的なので霊を焼き殺したり、浄化の光的なので霊を成仏したりしていた。結界を使って倒すものもいた。ついに結界師がブームの垣根を超えて、本当に現れたのである。この時がブームのピークだったかも知れない。クラスは混沌としていた。「○○ちゃんが急に具合が悪くなったらしいから見てみたら、霊が3匹ついてたの!○○くん退治して!!」「分かった!(目を閉じて手をかざす)」といったやりとりが真面目に行われていた。もう一度言うが、混沌としていた。

 

といっても僕は、霊を倒せる男子が出て来た頃には完全にどうでもよくなっていて、相手にしなくなった。 ブームのピークと言っても、その頃に霊と戦っていた人は一部だ。僕らは毎日のようにサッカーをしていた。10分しかない休み時間でも外に行き、ボールを蹴っていた。

 

ブームが終わりかけてた頃に、結界師が家に遊びにくることになった。学校から僕の家まで歩いて、やっと着いたって時に結界師がこんなことを言い出した。

 

「玄関の前に霊がいるから倒さないと!」

 

僕は持っていた木の棒でそいつのケツを叩きながら

 

「そんなの最初からいないし、見えてねえだろうが!」

 

と叫んだ。

 

ブームは終わった。

 

霊を結界で倒すことができてた奴を木の棒1本で倒すことができた。